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手拭い|日本古来の速乾タオルが手放せない理由

 日本には古来より受け継がれてきた素晴らしい道具がある。漆器、金工、曲げわっぱ、足袋、扇子、日本刀……。ぱっと思いつくだけでも多様な道具を挙げられるが、その中から、僕が旅先や日常で愛用しているのが手拭いだ。

 山中でも街中でも、手を拭ったり額の汗を拭ったりするための布巾は欠かせない。多くの人はタオルやハンカチを利用していることだろう。だが手拭いの良さに気がついてからは、すっかり虜になってしまった。手拭いは乾くのが速く、薄くかさばらない。魅力はこの点に尽きる。

 日本大百科全書(ニッポニカ)によると、手拭は古くから用いられてきたが、使用頻度が多くなったのは平安時代からだという。上層階級が儀礼用に、被り物として使用していたのだ。山野を激しく駆け回る戦国の世では、兵士は汗を拭うための手拭いと、もう一枚、屋内に上がるときに足の汚れを拭うための手拭いを携帯した。それらを鉢巻きや頭巾、帯紐、緊急時には包帯代わりと、多目的に利用したのだ。

 素材は主に麻が用いられたが、江戸時代の中期から木綿が取って代わり、名称も手拭いと呼ばれるようになった。明治以降、文明開化とともにタオルやハンカチが流入し、日本古来のものは時代遅れという風潮から、廃れる傾向にあったという。

 しかし、手拭いをもう一度見直してみよう。特に山を歩く人にとって「乾きが速くかさばらない」ことの恩恵は大きいはずだ。

手拭い
タオルと比べると手拭いのコンパクトさがよく分かる

 手拭を使った後は、水で洗って適当に干しておく。夜に干せば、室内干しでも翌朝にはしっかり乾いている。木綿は吸水性もよく、大汗をかいても吸い取ってくれる。夏場の野外なら、休憩時に日当たりのよい場所に広げておけば、出発時にはもうカラカラである。

 タオルの弱点はかさばること。肌を拭く感触と吸水力がよく、自宅で使う分には大した問題ではないが、装備を少しでも軽くコンパクトにしたい旅では手拭いに分がある。手を拭き汗を拭い、温泉ではタオル代わりになり、首や頭に巻けば日差しを遮ってくれる。手拭いひとつあれば、”布”が必要なあらゆる場面をまかなってくれるのだ。

 そんなわけで、僕の旅のバックパックには2~3枚の手拭を忍ばせている。旅先の土産屋で、新しい手拭を物色するもの楽しみのひとつだ。

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