instagram

沢や湖から安全な水を作れる小さな浄水器|ソーヤーミニ

 下山後にいつも感じるのは、水の大切さとありがたさだ。

 その約60%が水分からできている人体にとって、水は“欠かせない”程度のものじゃない。なければ死ぬ。一滴の水分も摂らなければ、もって3日といったところだろう。だからこそ山行前にはルート及び水の補給箇所も入念に調べる。幕営地はなるべく水場の近くがいいが、もし水場がなければ、日数分の水を背負うことになる。

 「湯水のように使う」という言葉があるように、日本は豊富な水資源に恵まれ、水は、どこにでも沢山あるものの例えに用いられる。実際、日本は全国どこでも蛇口をひねれば安全な飲み水が手に入る、世界でも珍しい国だ。それが当たり前の環境に育った日本人が、外国の水を飲んで体調を壊すのはよくある話である。

 都市では簡単に手に入る水も、水場が限られた山中ではそうはいかない。途中で水が補給できないルートでは、顔を洗うこともままならないのだ。それがたとえ3日の山行であっても、僕なんかは、下山後に蛇口から水が流れ出る光景を見て、軽いカルチャーショックを受けるほどなのである。

ソーヤー ミニ SP128

ソーヤーミニ

 安全な飲み水を手に入れるために、泊まりの山歩きに必ず持参するのが小さな浄水器「ソーヤーミニ」だ。全長13.5cm、重さわずか55gのコンパクトな浄水器だ。

 山を歩き、手を三十秒とつけていられないほど冷たく清んだ沢を見つけ、水をそっとすくって喉を潤す——。こんなことができたのはもう過去の話である。ガラスのように透き通った水でも、汚染されている可能性がある。その代表がエキノコックスだ。

 エキノコックスは犬やキツネに寄生する寄生虫の一種である。排泄された虫卵に汚染された水や植物などを経口摂取することで、人に感染する。感染すると初期症状が現れるまで10年以上を要し、その間に、非常にゆっくりと、しかし確実に、臓器が蝕まれてゆくのだ。日本では北海道のキタキツネが主な感染源であるが、2014年3月、愛知県で捕獲された野犬からも検出された。すでに本州でも汚染が広がっている可能性がある。沢や川の生水を、煮沸も浄水器もなしに飲むことは避けなければならない。*参考:厚生労働省|エキノコックス症について

水生微生物や病原菌などを99.99999%除去

 ソーヤーミニは、エキノコックスを含む水生微生物や病原菌などを99.99999%除去できる、世界最高レベルのフィルターを備えている。濾過能力は38万リットルと、例えば「グレイル」や「カタダイン|ビーフリー」などの人気浄水器と比べて傑出しているのだ。付属の洗浄用注射器でメンテナンスを施せばフィルター交換は必要なく、もはや一生分の浄水能力を備えているのではないかとさえ思える。ソーヤーミニがあれば水場の有無によって計画を制限されることもなく、沢や川、湖などがあれば、安全な水を手に入れられるのだ。

 ただし、浄水器といえども万能ではない。ソーヤーミニは、微生物や病原体などの生物由来の汚染は浄水できる。が、重金属や放射性物質、その他の水に溶けている化学物質などは除去できない。沢の水を浄水する場合、地図で上流を確認しておこう。人工物がある場合は注意したほうがいい。都市を流れる河川の水から、飲み水を作るのは難しいだろう。

ソーヤーミニ
プラティパスやエバニューウォーターボトルなど、汎用ペットボトルと同径口のボトルに接続できる

 ソーヤーミニは小型ゆえ、一度に大量の水を浄水することはできない。ひとり分、2リットルの水を作るのにだって、けっこう時間がかかる。それでも本体の小ささと、プラティパスや標準的なペットボトルに接続できる手軽さが気に入っていて、付属のストローを使えば、沢の水を直接吸い上げて飲むことだってできる。

 もともと、我が家の災害時の備えとして用意したのがソーヤーミニだ。かといって物置で眠らせているだけではもったいない。積極的に山で使うと、もうこれが手放せなくなった。水場が整備されていない山域によく出かける人は、用意しておいて損のない装備である。

created by Rinker
SAWYER PRODUCTS
¥3,960 (2022/07/05 19:03:21時点 Amazon調べ-詳細)