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用意すべきはバーナーより山専用ボトル!? サーモス・山専用ボトルの実力とは

 氷点下に近い寒空の下、テルモスから注いだ白湯の、身にしみるほんのりとした甘さは、冬山を経験した者にしか分からないことなのかもしれない。身を切るような北風が吹きすさぶ中、湯気が立つ温かい飲み物をいただく瞬間は至福の時間である。あるいは真夏の日差しに照らされながら飲む、キリリと冷えた飲み物もまた同じであろう。

サーモスの山専用ボトル

山専用ボトル

 山専用ボトルとは、真空断熱ステンレスボトル、いわゆる魔法瓶のパイオニアであるサーモスが手がけた、アウトドア用ボトルのことだ。厳しい気象条件にさらされることを想定して開発された。特筆すべきは、秋山や冬山での使用を想定した保温・保冷力の高さ。他にもグローブをしたままでも持ちやすく注ぎやすいデザインに加え、衝撃に強い底カバーを備え、野外でも安心して使える仕様である。

 2007年に登場した初代山専用ボトルから多くの登山者に愛されてきた名品が、2019年10月、6年ぶりにリニューアルされた。旧型の山専用ボトルはいかにも登山道具といった外観だった。登山用として開発されたのだから当然といえば当然なのだが、「デザインがちょっとなぁ……」という人も少なくなかったのではないか。新型山専用ボトルはそのような声に応えてくれたのか、イメージが刷新され、落ち着いたアースカラーを採用しおしゃれな雰囲気に。これならビジネスシーンや旅行など、普段使いにもマッチするだろう。

6時間後でも78度をキープする山専用ボトルの実力

 山専用ボトルの魅力は圧倒的な保温・保冷力にある。山専用ボトルに朝、自宅を出発前に入れたお湯で、山頂で即席麺を調理できるのだ。「お湯が必要ならバーナーを使えばいいじゃないか」という声が聞こえてきそうだが、湯沸かしの時間や手間でさえ惜しいことがある。

 大雨の中、それも屋根のない場所での食事は湯沸かしの手間さえ惜しい。僕は屋久島でバケツをひっくり返したような雨に打たれながらお湯を沸かしたことがある。湯沸かしスピードの早いジェットボイルを使ったが、それでも快適とは言えない状況だ。標高1,000mの雪山ハイキングでさえ、休憩時にお湯を沸かしているわずかな時間でみるみるうちに体が冷えてしまうのだ。山の洗礼を受けているとき、バックパックからボトルを取り出して、すぐに熱々のお湯を注げる恩恵は計り知れないのである。

 山専用ボトルの750㎖の場合、6時間経過後でも78度をキープできる。

 朝5時にお湯を用意し、8時に登山口を出発して、12時に山頂に到着する。そこでボトルから注いだお湯で、熱々のラーメンが食べられるのだ。14時を過ぎ、下山直前の最後の休憩でも十分に温かいコーヒーを楽しめるのである。

 「山でお湯を沸かしてランチやお茶を楽しみたい」と、ハイカーなら誰しも考えるのではないだろうか。山飯はいい。たとえレトルトやフリーズドライ食品を炒めたり温めたりするだけの食事でも、山で調理したての熱々の食事は鋭気を養ってくれる。山飯が山の目的だ、という人も少なくないのではないか。

 が、山飯は段取りに慣れないと時間を食う。好天の山飯ならいいが、悪天の中ではつらいものがある。もし、とりあえずお湯を沸かしてカップ麺を調理したい、コーヒーを飲みたいと考えているのなら、そんな人が用意すべきなのは、バーナーより山専用ボトルなのかもしれない。

山で使いやすい、ちょっとした配慮

 山専用ボトルは保温力を重視して、狭い注ぎ口(口径36mm)を採用している。注ぎ口が狭いと気になるのが、お手入れのしやすさだ。洗いにくい水筒はカビの発生などをはじめ衛生上の心配がある。が、さすがサーモス。「ダブルスクリューせん」とすることで解決している。注ぎやすく、手入れのしやすいボトルだ。

 もうひとつ、地味だが素晴らしいポイントが、ボディーリングだ。秋冬の登山において、グローブは欠かせないアイテムである。グローブをした手で使いにくい道具は、登山道具としてはどうだろうか……。

 山専用ボトルはグローブでも、ぬれた手でもボトルが滑らず掴みやすい。バックパックからスッと取り出せて、しかも注ぎやすい。このちょっとした配慮で、山専用ボトルが徹底した登山者目線で開発されたことをうかがえるのだ。

山専用ボトルの容量はどれを選ぶ?

 山専用ボトルの購入でもっとも迷うのが容量の選択であろう。現在3つの容量が用意されている。

  • FFX-501 容量=500㎖  保温効力=77℃以上
  • FFX-751 容量=750㎖  保温効力=78℃以上
  • FFX-901 容量=900㎖  保温効力=80℃以上

おすすめは900㎖

 500㎖はソロ用に最適。サイズも小さく重量は軽く、昼食とコーヒータイムのお湯をまかなえる。750㎖はたっぷりのソロ用、もしくはコンパクトな2人用として使い勝手がいい。ソロなら昼食と一日のお茶をまかなえ、コーヒータイムのみなら2人用のお湯を十分に用意できる。

 しかし、僕の愛用は900㎖だ。900㎖はもっとも高い保温力と大容量を確保し、ソロ用として、行動中の白湯に昼食、お茶と、水分があまり必要ない冬山の日帰りハイキングなら、これ一本で全てをまかなうことだってできる。なにより見た目がかっこいいじゃないか。少し大きく重たいかもしれないが、容量と実力を考えれば、僕のおすすめは900㎖である。

 山専用ボトルはずば抜けた保温性能と野外での使い勝手のよさから、登山者に愛用されている。リニューアルでイメージを刷新し、落ち着いた雰囲気は街中での使用にも最適だろう。この記事を参考にぜひ使ってみてほしい。使えば使うほど良さがわかる、山専用ボトルの実力は本物だ。

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