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山岳会で北摂・大岩ヶ岳のピークハントを楽しみました

 僕が所属する「大阪青雲会」で、大岩ヶ岳のピークハントを実施しました。▲写真中央、黒いTシャツの男性が管理人。以下は会に提出した報告および感想文です。せっかくなので当ブログにも掲載することにしました。

山の好物は三角点

 「血が騒ぐ」、というと少しオーバーかもしれないが、三角点と聞くと、僕の興味や好奇心やらをひとまとめにぐいと誘われるのを覚える。山歩きといっても僕はもっぱら低山ばかりを歩いているのだが、それでもしばらく続けていると、決まり切ったコース歩きに物足りなさを感じてくるものだ。そこで大抵の人は高山を目指したり、岩や沢、雪山に挑戦したりとなるのだろうが、どういうわけか僕の興味関心は地形図、それも、等高線や三角点に集中するのだ。一日の仕事を終え、ビール片手に地図を広げ、どこかに面白そうな地形や三角点はないかと物色しているのだから、もう立派なマニアである。

 大岩ヶ岳の三角点巡りを思い立ったのも、そんな晩酌のひとときのことだった。

 地形図と共に『山と高原地図』も広げてみる。山と高原地図のガイド冊子には、「当コースには山中に公設標識は無い」とある。実際、大岩ヶ岳の神戸市側ルートには私設の目印や見逃してしまいそうな小さな標識しかない。調べてみると、この周辺は読図講習の場としても利用されているようだ。この時点で僕の血が騒ぎ血に呼ばれ、道場駅に向かうことになったのである。

三角点の役割とは

 午前8時を少し過ぎた。吐息が白く、手を胸の前でもみしだきながらのスタートだ。東山橋でウエアを調整し、尾根に取り付く。分岐手前の丘陵地で小休止し、P269.6「大岩」へと向かった。

 谷を下り、その先のコルから尾根を伝ってゆく。すでに登山道を外れており、足下はヤブがちで踏み跡程度の道しかない。ルートが分かりにくくなると俄然やる気になるのは僕だけだろうか。ヤブが濃くなるとなぜだかうれしくなり、ついつい顔がニヤけてしまう。踏み跡の先にある、最初の三角点を難なくクリアした。

「どうしてここが歩けると思ったんですか? 地図にはない道なのに」

 確かに、登山地図にはもちろん、地形図や山地図アプリにもルートは記載されていない。

「三角点には道がついていることが多いんですよ。もしこの場所を目指すなら、きっと尾根伝いに歩くだろうと踏んだんです」

 三角点は、関数などを応用した「三角測量」の、地図を作るための基準点である。今から約150年前、明治の初期から三角点の設置と測量が始められた。当時、急速に近代化が進む日本において、同じく近代的な地図が必要になったのだ。1辺が約45kmになる「一等三角点」が最初に設置され、測量の精度を高めるために、1辺約10kmの二等三角点、続いて三等三角点、四等三角点と設置されていった。

 三角点には標石がある。ということは、誰かがその場所を訪れて標石を埋めたのだから、そのための踏み跡が残っていても不思議ではないのである。ちなみに日本で最初の一等三角点は、茨城県・筑波山の女体山(877m)だそうだ。

 三角点からもと来た道を戻り、一般登山道へ合流。小休止をはさみながら大岩ヶ岳、続いて東大岩ヶ岳へと進む。いずれも標高400m未満の小さなピークだが、そこからの眺めが素晴らしい。東大岩ヶ岳は、その北部にある千苅ダムがハート型に見えるスポットとして話題になったとか。馬の背を見学し、東大岩ヶ岳で昼食をとった。

微地形で現在地を把握せよ!

 P281.4「丸山」も難易度は低い。登山道のすぐ脇にあり、真上に送電線が走っているから、それらを目印に探せばよいのだ。問題は最後の三角点P250.2「飛瀬」、というよりも、“三角点にアプローチするための取り付きで、現在地を確定できるかどうか”にあった。

 道場駅側からP250.2を目指す場合は、登山道の変化から取り付き場所に確信が持てる。が、川下川ダム側からのアプローチは少し難しい。

 地形図に記されている道は、実際には完全に廃道であり、以前このルートを進んで失敗したことがある(沼に足首まではまりました)。地図上では川下川ダムへの分岐から尾根伝いに進めそうだが、ヤブが濃すぎてここも無理だった。いったん谷に下って登山道に合流したいのだが、等高線の間隔が広く目印が乏しい。また踏み跡も錯綜していてルートが分かりづらい。当日、いよいよ現地を訪れてみても、さてどうしたものかと考えあぐねていたのだ。

 正直に言うと、川下川ダムの分岐から先、僕は現在地を見失っていた。もっとも、「この線上のどこかにいる」という程度には把握してはいるのだが、今日は仮にも9名パーティーのリーダーだ。本当に迷ってはしゃれにならない。そう身構えると、口の中がみるみるうちに乾燥し、今にも唇がひっついて離れなくなりそうだった。

 何度かルートをミスした。平静を装い、ここでGPSを立ち上げる。よし、現在地が分かればこっちのものだ。スマートフォンに表示される現在地マークが、これほど心強く感じることはないだろう。そのまま無事にP250.2への取り付き場所へ到着し、最後の三角点を踏むことができたのである。

ちょっと寄り道、野菜の直売所

 一般的に、高く険しい山ほど難易度が上がる。では標高384mの山なら易しいかと問われれば、そうとも言い切れないところに山歩きの奥深さを感じる。現在地把握が難しいルートを歩くのは、それだけでひとつのゲームのようなもので僕は大好物だ。JR道場駅は文字通り“道場”であり、残す最後の三角点、P239.9「亀治」も必ず踏破したい。

 そうそう、大岩ヶ岳に訪れたなら、東山橋の近くにある野菜の直売店に寄り道してみよう。奈良の伝統野菜「大和まな」をはじめ、ちょっと珍しい野菜をお土産にできる。買い物を済ませ、道場駅に向かう道すがら僕たちを迎えてくれた「コゲラ(日本で一番小さなキツツキ)」も、この例会に彩りを添え、印象深いものにしてくれた。

大岩ヶ岳の山行データ

  • 目的地:大岩ヶ岳(北摂)
  • 担当者:川口貴史
  • 形 式:日帰りハイキング
  • 天 気:晴れのち曇り
  • 行 程:道場駅(8:10)→(8:25)東山橋(8:30)→(8:55)分岐手前の丘陵地(9:00)→分岐(9:05)→(9:25)P269.6(9:30)→大岩ヶ岳南ルート分岐(10:00)→(10:12)丘陵地(10:20)→(10:40)大岩ヶ岳(10:55)→(11:11)東大岩ヶ岳[昼食](12:00)→第一湿原北分岐(12:25)→(12:36)P281.4(12:40)→P250.2(13:36)→風吹岩分岐(14:00)→東山橋(14:20)→道場駅(15:00) [解散]

 大岩ヶ岳の詳細は、以下の記事も参考に。