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登山の記録をとる道具|防水メモ帳と、ゼブラのステンレス製ボールペン

 スマートフォンのカメラ性能は毎年のように進化する。山の写真は、「スマホのカメラで十分」という人も多いことだろう。

 一方で、その手軽さからどんどん撮影を重ねた結果、どこで、何を撮った写真だか分からなくなることはないだろうか。もしかしたら撮影したらそれっきり、二度と開かない写真もあるかもしれない。

 写真と同じく、登山の記録方法も随分と様変わりした。山地図アプリでログをとり、写真を添えてSNSに共有するのが、今どきの登山記録の在り方なのかもしれない。

 しかしスマートフォンには電源や通信の問題、故障のリスクがつきまとう。それに道中のちょっとした出来事や目にした草花、野鳥、野生動物の記録、それらに感じたことなどをさっとメモするには、やはり紙のメモ帳とペンの組み合わせにかなうものはないのではないか。

 学校教科書のデジタル化が検証されている現在、デジタルは紙に比べて記憶に定着しにくいとする研究結果が、国内外で相次いで発表されているという。便利や効率を求めてデジタル化を進めるあまり、山の思い出が、スマートフォン越しの印象しか残っていないなんて、何ともったいないことだろう——。

 液晶画面ではなく、自分のこの目を通し、五感を総動員してまずは山の素晴らしさを匂い、感じる。そうして感じたことをさっと書き留めるのに、まだまだアナログな筆記具が手放せないのである。

 僕はこれまでにさまざまなノートや筆記具を使ってきたが、しばらくはこの組み合わせに落ち着きそうなので紹介したい。

戦人|防水メモ帳

 戦人は、自衛隊向けの訓練用品を扱うメーカーだ。むろん防水メモ帳も厳しいフィールド環境に耐えられる仕様である。

  • サイズ:13×8cm
  • 用紙:Keeplus
  • 罫線:5mm方眼
  • 枚数:50枚

 防水用紙は石灰石を主原料としたKeeplus(ストーン紙)を採用し、白ではなく、明るいグリーンの用紙が印象的だ。嵐の中でも風呂に浸りながらでも書ける防水性はさることながら、用紙が眩しくないのがいい。真っ白の用紙は、晴天下で太陽光が反射して見づらいのだ。

▲表紙には2万5000図に対応したメモリが付く

 方眼罫はメモを整理して書き込め、無罫や横罫より使い勝手がいい。そして手のひらに収まるこのサイズ感。メモ帳はパンツやシャツのポケットに収まらなければ、取り出すのがおっくうになり真価を発揮できないのである。

硬い鉛筆万年筆
細字用筆記具筆ペン
ボールペン色鉛筆
サインペンクレヨン

 筆記具との相性は上記のとおり。メーカーの指定によると、鉛筆よりボールペンが適しているらしい。ということで、防水メモ帳とともにフィールドで使いやすいボールペンを探してみた。

ゼブラのステンレス製ボールペン|ウェットニー & F-xMD

ウェットニー

 ウェットニーは加圧式ボールペンだ。ノックすることでインクに圧がかかり、ぬれた紙に筆記したり、重力に逆らって上向きに筆記したりできる。しかも替え芯は加圧式専用のものではなく、「K-0.7芯」という汎用モデルだ。文具店やホームセンターで簡単に入手できるのがうれしい。

 本体価格¥660(税込)ながら、侮れないのがミルスペック(アメリカ軍の物資調達に使われる規格)に準拠している点である。「MIL-STD 810G−516.6(落下試験)」をクリアし、これは高さ約1.22mの高さからラワン合板の床に向けて、26方向から対象物を落下させ、正常に動作することを示すものだ。ポケットに収まるミルスペック。もっと、評価されてもいいボールペンではないか。

F-xMD

 こちらは日本未発売のモデルだ。わざわざ——というほどの手間ではないが——Amazonで海外から取り寄せた。

 こいつの良いところは、オールステンレス製であるところ。肉厚なステンレス製の本体にローレットが美しく刻まれ、指にしっかりと吸い付き滑らない。安価ながら外観の質感が大変よく、ビジネスシーンにもすんなりと馴染みそう。

▲デフォルトでは1mm芯だが、メモ帳に使いやすい0.7mm芯に交換してある

 ミルスペックではないものの、ステンレスの強靱なボディは落としたぐらいではびくともしないだろう。何せ『アメリカ海軍SEALのサバイバル・マニュアル|クリント・エマーソン著』で、元SEAL(最強と名高い特殊部隊です)隊員の著者が携帯常備セットにゼブラのステンレスボールペンを推奨しているのだから、説得力がある。替え芯はゼブラの汎用芯「F-0.7芯」が利用できるところもいい。なぜ、日本では未発売なのだろうか。不思議でならないぐらいだ。

記録は消せないペンで残したい

 僕は長らく、山の記録には鉛筆をメインに使用してきた。鉛筆は、そこにありさえすれば、そして芯さえ削り出せば、本体の長さの分だけ確実に書けるからである。灼熱の砂漠でも極寒の南極でも、宇宙でさえも筆記できるのだ。

 鉛筆の、記録のための筆記具として、唯一のデメリットが”消せてしまう”ことだと思う。

 僕はWEBライティングの他に靴用品のアドバイザーとして、開発中の靴用品のテストや説明書作成なども承っている。テストでは記録を録る。それも手書きで。テストの方法やその環境に加え、実際におこった出来事などを、消せないペンでその場で書き留めるのである。

 鉛筆やデジタルデータと違い、ボールペンで書いた文字は消せない——いや少なくとも、改ざんしようとすれば跡が残る。だからこそ、消せないペンによる手書きのテストノートはもっとも信頼できる証拠となり得るのだ。製品に何か不具合が生じ、責任を追及されるようなことがあれば、僕は手書きノートを証拠に提出するつもりだ(もちろん、そんな事態はこれまでに一度もない)。

 もしノートが鉛筆書きだったら——。

 「都合のよいように書き換えたのではないか」と問われるようなことがあれば、僕は反論できないかもしれないのである。

 と考えると、確かに残したい登山の記録も、やはり消せないペンで書いた方がいい、と思うようになったのだ。

 であればフィールドでガシガシ使える頑丈なボールペンがいい。それほど高価でない、使い捨てではないモデル。それも替え芯が入手しいやすいモデルがいい。そうしてゼブラのステンレスボールペンにたどり着いたというわけだ。

記録をとり、一度きりの旅を三度味わう

 こうして防水メモ帳とペンでとった記録は、最終的にノートにまとめている。

▲写真だと見づらいが、ノートに貼り付けた地図にコースタイムや登山道の様子などを書き込んでいる

 旅慣れた人から、こんなことを聞いたことはないだろうか。

「計画、実行、記録と、ひとつの旅を三度味わう」

 旅は計画の段階から既に始まっている。地図を広げて、さてどこを歩こうかと考える時点でもうワクワクする。そして実際に旅をし、そのときの記録を元に、僕の場合はノートにまとめたりブログに旅日記を掲載したりして、もう一度、旅を追体験するのだ。旅日記を読み返すことで、たとえ数年前の出来事であってもその映像がありありと脳裏に上映されるのである。

 こんな楽しいことを、スマートフォンでサクッと片付けてしまうなんて、もったいない。

 ぜひひと手間をかけて記録をとり、旅の醍醐味を味わってほしいと思う。

 記録をまとめた登山ノートに関しては、また、別の機会に。

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