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【六甲全山縦走】須磨浦公園〜新神戸までの前半コースガイド

 いつか六甲全山縦走を——。これが、僕が山歩きを始めたころの目標だった。関西近郊のハイカーで、六甲全山縦走を目標に掲げる人は少なくないことだろう。

 とはいえ公称56kmに及ぶ道のりは厳しく、一筋縄では歩き通せない。完走するには事前の準備と、リサーチが欠かせないのだ。具体的なコースは? 服装や装備は何が必要か——。

 ここでは六甲全山縦走の、前半コースのアドバイスを記したい。

目次

  • 六甲全山縦走・前半コースの概要
  • 補給・エスケープポイント
  • 六甲全山縦走の装備と服装
  • 六甲全山縦走ガイド|前半
  • 下山後の温泉・神戸クアハウス

六甲全山縦走・前半コースの概要

Download file: suma-to-shinkobe.gpx
  • 標高:486.1m(鍋蓋山)
  • 距離:約21km
  • コースタイム:9時間11分
  • コース:須磨浦公園駅→鉢伏山→旗振山→鉄拐山→栂尾山→横尾山→馬の背→東山→高取山→菊水山→鍋蓋山→市ケ原→新神戸駅
  • アクセス:行き・山陽電鉄「須磨浦公園」駅下車、すぐ登山口|帰り・市ヶ原から、神戸市営地下鉄・JR新神戸駅へ下山

 六甲山は、西は神戸市須磨区から東は宝塚へと連なる山域の総称だ。日本の近代登山発祥の地とされ、黎明期には小説『孤高の人』のモデルになった加藤文太郎らが、高みを目指してトレーニングを積んだ。

 最高峰の標高は931m。北部には有馬温泉を抱き、東西にいくつもの山が連なる。その山々をつなぐ、公称56kmの全山縦走路が走っているのだ。

 もちろん一日での踏破もできるが、初心者にとってそれは現実的ではないだろう。2分割、3分割とコースを分ければ挑戦しやすい。

補給・エスケープポイント

 六甲全山縦走の前半コースは鍋蓋山の標高486mが最高地点である。500m足らずの山々をつないで歩いてゆくのだ。

 ただし、低山だからと侮ってはいけない。アップダウンが連続し、その累積標高差は1,500mに迫る。万が一途中で力尽きた場合のために、エスケープルートを入念に調べておきたい。

 幸い六甲全山縦走路は市街地を通過する。市街地から公共交通機関でエスケープするのが安全で確実な方法だ。以下は、代表的なエスケープポイント。

 また、歩行が長時間に及ぶため飲料水や行動食も十分に用意しておきたい……とはいうものの、市街地を通過するため、各所で自動販売機やコンビニでの補給も可能だ。

六甲全山縦走の装備と服装

 六甲全山縦走路は、須磨アルプスの岩稜帯を除けばよく整備された登山道が続く。特別な装備は必要なく、日帰り登山の基本装備があれば十分だ。そして装備は軽く、とにかく軽くすることに全力を尽くそう。

  • 軽登山靴
  • 季節に応じた防寒着
  • レインウエア
  • 軽アイゼンまたはチェーンスパイク(冬季)
  • 地図とコンパス、スマホの登山地図アプリ
  • ヘッドランプと予備電池
  • スマートフォン
  • モバイルバッテリー
  • 救急用品
  • 飲料水
  • 行動食・昼食・非常食

 市ケ原で下山せず、そのまま宝塚まで縦走する人は、時期によっては軽アイゼンが必要になる。摩耶山から先は冬期、積雪や凍結の可能性があるからだ。一日で踏破する人は気象情報をよく確認しておこう。

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六甲全山縦走ガイド|前半

須磨浦公園〜旗振山

 六甲全山縦走は、ここ須磨浦公園駅からスタートする。

 正式なスタート地点はJR塩屋駅なのだが、神戸市主催の「KOBE 六甲全山縦走大会」のコースにのっとり、現在は須磨浦公園をスタート地点とすることが多い。装備を整え、まずは鉢伏山、旗振山を目指そう。

 須磨浦公園から入山すると、いきなり始まる階段の連続にうんざりしてしまう。登り始めで体が温まっていないこともあり、序盤の階段がコース上で一番キツく感じるかもしれない。

 そんな辛さを忘れさせてくれるのが、尾根上から望める大阪湾や神戸市街地の眺望である。海、山、街が近い神戸ならでの眺めで、山にいながら海の景色を楽しめることが、六甲山の魅力である。須磨浦ロープウェイ山上駅の展望台からは六甲山域でも一二を争う素晴らしい景色が広がっているので、ぜひ立ち寄ってみよう。

 鉢伏山への分岐を見送り、(もちろん立ち寄ってもよい)旗振山へと向かうと階段はいったん落ち着き、静かなトレイルを歩いてゆく。旗振山の頂上には旗振茶屋があり、休憩適地だ。

須磨アルプス

 旗振山からいよいよ全山縦走路を歩き始める。須磨アルプスを目指して東に進もう。

 このあたりは登山道が複数走っており分岐も多い。道標が整備されているが、地図でルートを確認しながら進みたい。

 今回は鉄拐山を見送ったが、余力のある人は登ってみよう。頂上では360度の展望を楽しめる。

▲奥の白い建物が「おらが茶屋」

 おらが茶屋を通過し、ここでいったん住宅街に下りる。せっかく登ったのにまた下るなんて理不尽な気もするが、これが六甲全山縦走だ。この先も登っては下るの連続である。

 ひとつ目の補給ポイント「KOHYO 高倉台店」を通過すると、縦走名物の400段階段が待ち構える。初めてここを訪れたときは、何度も休憩しながら登ったものだ。その先、栂尾山、横尾山へと進むと、いよいよ須磨アルプスの岩稜帯である。

 須磨アルプスでは風化した岩場を歩く。南には海が広がり、北はすぐ住宅街だ。須磨アルプスはその間を東西に貫くダイナミックな光景が広がっている。核心部の「馬の背」は、両サイドが切れ落ちたスリル満点の尾根である。

▲馬の背は、人がすれ違えるほどの道幅はない。注意して通過しよう

 馬の背を無事に通過し、東山の分岐を妙法寺方面に下ってゆくと住宅街に出る。この先は高取山まで「六甲全山縦走路」の案内を目印に進もう。もしエスケープする場合は、ここから神戸市営地下鉄「妙法寺駅」へ。

妙法寺の市街地〜高取山〜丸山の市街地

▲市街地は「六甲全山縦走路」の道標を見逃さないように進もう

 道標を目印に進むと、「妙法寺小学校前交差点」へ到着する。この交差点から南に徒歩3分ほどに「ローソン 須磨妙法寺界地店」があるので、休憩や補給が必要な人は立ち寄ろう。交差点から先に進むと高取山にと取り付く。

▲高取山の山頂。この階段のさらに奥に三角点がある

 高取山には荒熊神社と高取神社があり、登山道はハイカーにまじって多くの参拝客も歩く。頂上一帯は神域とされ、トレイルランの場合は走らず、歩きに徹する。

 高取山への尾根を登りきると、荒熊神社に到着する。さらにその先が高取神社の入り口だ。全山縦走路は高取神社へは入らず、鵯越(ひよどりごえ)方面へと続く。

 月見山茶屋の先の左手に広場があり、その先に全山縦走路が続く。もし高取山で離脱する場合は、長田・板宿方面に下山しよう。高取山を鵯越方面に下山すると、丸山の住宅街だ。

丸山住宅街〜菊水山

 ここからは複雑な住宅街を歩く。地図と道標を確認しながら正確に進みたい。

 さて、通常は住宅街=アップダウンのない休憩ゾーンと考えることだろう。しかし、丸山の住宅街は休憩ゾーンではない。道はアスファルトで舗装こそされているものの、急な登り坂が連続するのだ。

 ひとまず鵯越駅を目標に進もう。鵯越駅手前には「ひよどり商店」があり、自動販売機で補給できる。この先の菊水山の急登に備え、十分に休憩しておきたい。

 鵯越駅を出発し、しばらくは平坦な道を進む。水道局の施設を通過し、ダム下の橋を渡ると菊水山の登山口だ。

菊水山〜鍋蓋山

▲菊水山は急な階段の連続だ

 菊水山は六甲全山縦走路の難関のひとつ——ということは、まだ難関がある——だ。標高は459mだが、山頂まで尾根を直登する階段の連続である。この先の道のりはまだ長い。適度に休憩をはさみながら、体力を温存しつつ登りたい。

▲菊水山の展望台より

 菊水山の頂上には大きなアンテナがあり、これまで登ってきた山や街並みを見渡せる。よく晴れていれば、淡路島や明石海峡大橋も望める好展望地だ。

 菊水山を通過すると天王吊り橋まで高度を下げ、再び鍋蓋山への急登に取り付く。菊水山の時点で疲労が激しい場合は、山頂から鈴蘭台方面に下山しよう。天王吊り橋まで進んでしまうと、鍋蓋山を登らざるを得なくなる(有馬街道を歩いて下山する方法もあるが、歩道はないうえ交通量が非常に多く、おすすめできない)。

▲有馬街道の頭上にかかる天王吊り橋

 菊水山からの下山は、急なガレ場も通過する。慎重に下りきると天王吊り橋だ。ここから鍋蓋山に取り付く。

鍋蓋山〜大龍寺〜市ケ原

 鍋蓋山も菊水山と同じぐらいの急登が続く。急登を登りきり、頂上が近づくにつれて徐々に平坦な道となるので、そこまでは我慢だ。

 鍋蓋山の標高は486m。前半コースの最高峰である。この先も全山縦走路を東に進み、大龍寺山門、市ケ原へと下っていく。

▲大龍寺山門。この先、市ヶ原を経て新神戸に下山する

 この先、全山縦走路は摩耶山、ガーデンテラス、六甲最高峰へと続くが、前半コースはここまでだ。市ケ原から布引貯水池を経て新神戸へ下山しよう。お疲れ様でした。

下山後の温泉・神戸クアハウス

 神戸クアハウスでは天然温泉を楽しめ、食事や宿泊も可能だ。しかも日本で唯一、ふたつの温泉を堪能できるという。新神戸へ下山したときは、ぜひ立ち寄りたい。

  • 住所:〒651-0093 兵庫県神戸市中央区二宮町3丁目10−15
  • 電話:078-222-3755
  • 営業時間:24時間 年中無休
  • 料金:大人(中学生以上)990円
  • 神戸クアハウス公式サイト
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