六甲山 地獄谷

【六甲山】地獄谷〜荒地山コース|定番登山コースに飽きたら破線ルートで荒地山へ

 芦屋川〜ロックガーデン〜六甲最高峰〜有馬温泉の定番コースに飽きたなら、地獄谷から荒地山を巡ってみよう。

 六甲山の銀座通りといえば芦屋川から六甲最高峰へ登頂し、有馬温泉を目指すコースだ。六甲山域で一番の人気コースといっていいだろう。初心者から経験者まで楽しめ、休日は多くのハイカーでにぎわうのだが、あまりのハイカーの多さにまるで観光地のように感じてしまうことがある。

「もっと山を感じたい」

「スリルがほしい」

 そんな人におすすめなのが、地獄谷〜荒地山コースだ。今回は地獄谷からロックガーデンのA懸垂岩、B懸垂岩跡、ピラーロック(万物相)を通過して荒地山周辺を巡ってみた。

六甲山への玄関口

 ロックガーデン入口から高座ノ滝を経て地獄谷へと向かう。多くの人は中央尾根を登り風吹岩を目指す。ここで人混みとはお別れだ。地獄谷の入口からは『山と高原地図|六甲・摩耶』の破線ルートを、谷筋に沿って西へ進み、A懸垂岩、B懸垂岩跡、そしてピラーロックへと歩いてゆく。

写真はおそらく土石流のセンサーだろう。この奥が地獄谷だ

 ロックガーデンは近代登山発祥の地とされ、藤木九三を中心に大正13年(1924年)に設立されたRCC(ロック・クライミング・クラブ)のメンバーがトレーニングを積んだ場所だ。RCCはロッククライミングを目的とした日本初のクラブで、当時に命名されたロックガーデン、A懸垂岩、B懸垂岩などの名称が、現在にまで受け継がれている。

 地獄谷は川のせせらぎを聞きながら谷筋を進む爽やかなコースだ。暑い時期には気持ちがいい。2〜3mの小さな滝をいくつか登ってゆく。写真で見ると難しそうだが、足場はしっかりしているので3点支持で確実に登ろう。谷筋を登り詰めるとA懸垂岩に出合う。

小さな滝をいくつか越える
六甲山 地獄谷
六甲山 地獄谷

 A懸垂岩は今でもロッククライミングの練習場所として利用され、週末にはクライマーたちでにぎわう場所だ。ここから近代登山の歴史が始まり、今、同じ場所を歩いていると思うと感慨深い。この先、地図上ではB懸垂尾根上を直線に進むことになっているが、実際にはいく通りものルートがあり、小径が入り組んでいる。僕はなるべく難易度が低いルートを選んで進んだ。

六甲山 A懸垂岩
A懸垂岩

 B懸垂尾根をいったん下り、最後の小さな岩場を上ると、パッと視界が開けてピラーロック(万物相)に到着する。ピラーロックは奇怪な岩のオブジェだ。一体どのようにして造形が生まれたのだろう。人の手では作れない不思議な形をしている。

ピラーロック(万物相)

 ピラーロックを後にし、風吹岩に寄り道する。そして進路は高座谷ルートへ。谷筋をいったん下り、砂防ダムから北に進めばキャッスルウォールに到着だ。キャッスルウォールを巻くように登ると、城山〜荒地山コースの尾根に出合う。荒地山方面に進み、岩梯子(いわはしご)を目指そう。

中央稜から高座谷へと下り、キャッスルウォールへ
クライマーでにぎわうキャッスルウォール
荒地山名物の岩梯子

 岩梯子はまさに岩の梯子で、荒地山の名物である。3mほどの岩を垂直に登ると、そこからは好展望が広がっている。その先は小さな岩場の連続だ。新七衛門では岩のトンネルを進む。ザックを下ろさないと通れないほど狭い。

 山頂の半分は観光地化された六甲山は、ロープウエイも通り、誰でも手軽に登れるのが魅力だ。その中で荒地山の岩場はアルプスの岩綾を思わせる。夏のアルプス縦走や雪山のアイゼントレーニングが、地獄谷〜荒地山で行われるのも納得だ。山に来た、山を登った満足度が高い。車でも行ける六甲山最高峰とは違い、自分の手足で登ってきた充実感が大きいのだ。

 荒地山の山頂はこぢんまりとした広場で眺望はないが、休憩適地である。六甲山の銀座ルートと違い、人がまばらで静かに過ごせるところがよい。ここで昼休憩とする。

ザックを下ろして新七衛門をくぐる
新七衛門からしばらく登るとテラスがある。ここにはネコが住み着いているようだ。休憩していたら僕のバックパックを勝手にあさりだした。こらこら
荒地山山頂には何もないが、広場になっており休憩に最適

 のんびりと休憩して再び高座谷へ。ちなみに、荒地山からは各方面にルートが分岐している。余力のある人は六甲最高峰や東おたふく山を目指してもよい。その先は有馬温泉に下るもよし、宝塚へ下るもよしだ。

 荒地山から谷まで下りると分岐に突き当たる。高座谷ルートは道標こそあるものの、踏み跡が多く地図にはないルートが多数存在している。ルートを確認し、十分に気をつけて進みたい。

荒地山や高座谷は踏み跡が無数にある。道迷いに要注意
高座谷にひっそりとたたずむ仏像

 しばらく歩くと再びキャッスルウォールへ到着。しばし休憩し、再び歩き出したのは13時30分。そろそろいい頃合いだ。芦屋川へ下山すべく砂防ダム方面に進む。

高座谷から中央稜へ合流。ゴールはすぐだ

 砂防ダムまで下ればゴールは目前だ。ロックガーデン中央尾根と合流し、無事、高座ノ滝に到着。芦屋川沿いの桜を眺めながら、阪急電車で帰路についた。

地獄谷・荒地山のデータ

  • 標高:荒地山(549m)
  • 距離:約7.5km
  • コースタイム:約5時間
  • コース:ロックガーデン入口~地獄谷~ピラーロック(万物相)~風吹岩~高座谷・堰堤〜キャッスルウォール~岩梯子・新七衛門~荒地山~高座谷〜キャッスルウォール〜ロックガーデン入口
  • アクセス:阪急電車「芦屋川駅」からロックガーデン入口へ徒歩約30分
  • 立ち寄り湯:芦屋川駅から徒歩約10分「湯あそびひろば森温泉」(http://morionsen.life.coocan.jp

 地獄谷では沢登りの雰囲気を、荒地山では岩場を楽しめる魅力あふれるコースだ。定番コースに飽きたらぜひ地獄谷コースを試してみてほしい。

 ただし、本コースは一般登山道ではないところを歩く。

 道標がなく踏み跡が不明瞭であるか、無数の踏み跡が残り、ルートがわかりにくい場所もある。荒地山周辺は特に要注意だ。また2〜3mの滝や岩場をいくつか直登する。足場はよく気をつければ誰でも登れるが、注意が必要だ。初心者のみでの入山はおすすめできない。不安な人は経験者に同行してもらおう。地図は山と高原地図の他、『六甲山系・登山詳細図』をおすすめしたい。

自然愛好家。大阪府山岳連盟・大阪青雲会に所属し、週末には関西近郊の里山にふらりと出かけていく。日本オリエンテーリング協会ナヴィゲーションスキル検定・シルバーレベル取得。フルマラソンベスト3時間29分。