箕面大滝

箕面大滝を巡る、箕面山ハイキングコースを歩く

 紅葉に代表される箕面山は、大阪府の北部に位置する里山だ。大阪市内から電車で30分ほどとアクセスの良さが魅力でありながら、それでいて「日本三大昆虫宝庫」と称されるほどの豊かな生態系を有しているのだ。

 箕面山で一番の景勝地「箕面大滝」は日本の滝百選にも選ばれる名爆として知られ、錦秋には滝と紅葉の織りなす景観を楽しもうと、各地から観光客が訪れる。よく晴れた秋の1日に、こもれびの森から箕面大滝へ歩いてみた。

箕面駅にあるシンボル「ガレリア」の下から

 阪急箕面駅の改札をくぐると、目の前には土産屋が立ち並び、左手にはバスターミナルが広がっている。古くから愛される観光名所、といった雰囲気が漂っていた。平日にもかかわらず何組もの観光グループがパンフレットを片手に談笑している。僕も広場で準備を整え、箕面大滝を目指して歩き始めた。

お地蔵様だろうか、ケルンだろうか……見ただけでは判断がつかなかった

 箕面大滝へのアクセスは駅のすぐ北側から続く「滝道」がもっとも有名で人気がある。約2.8kmの滝道を往復するだけでも十分に楽しめるのだが、滝の周辺を縦横に走るハイキング道を利用しない手はない。箕面山は箕面国定公園に指定されており、低山ハイキングにうってつけの山なのだ。滝道を駅から10分ほど歩き、聖天橋を渡って入山した。

 箕面山は国定公園だけあって道はよく整備されている。分岐には道標が立てられ、その道標には詳細な地図も表記されている。初めて訪れる人でも道迷いの心配はほとんどないだろう。このように気軽に歩けるハイキングコースながら、その見晴らしは素晴らしいのだ。

 ゆるやかな尾根を登りつめ、聖天展望台に到着した。標高はたかだか250m程度だが、展望台からは北摂の街を見渡せる。そこには市役所に展示されているミミチュア模型のような風景が広がっていた。澄んだ秋の空気もあいまって、なかなかの好展望である。箕面山にはこのような展望台が数カ所に設けられており、展望台巡りも面白いだろう。ゆっくりと眺望を楽しんだ後、次なるチェックポイント「こもれび展望所」に向かう。

 ここからは車道を歩く。観光地の低山では車道歩きはよくあることだが、舗装路を歩いていると気分が損なわれてしまう。早くハイキング道に入りたくて足を早めたが、思わぬアクシデントに見舞われた。こもれび展望台へのハイキング道が、通行止めになっていたのだ。

※2021年3月現在、通行止めは解除されています。最新の情報は「みのお山なみネット」でご確認ください。

 箕面山は2018年の台風により大きな被害を受けていた。関西国際空港の連絡橋が寸断された台風といえば、記憶に新しいことだろう。台風の影響で、箕面駅と箕面大滝を結ぶ滝道も約1年のあいだ封鎖されていた。こもれび展望所周辺はいまだに風倒木の処理作業が続いているのだ。事前のリサーチ不足を悔やんでも仕方がない。元来た道を戻ろうとしたところ、後ろから声をかけられた。

「この先、通行止めですか!?」
「そのようです……。戻るしかなさそうですね」

 声をかけてきたのは60歳ぐらいの小柄なおじさんだった。話を聞くと、僕と同じコースを歩いてきたらしい。グレーのトレッキングパンツにカーキのロングTシャツ姿のおじさんからは、いかにも山好き、そして山を好きな人が好き、という印象を受けた。

「(2018年の)台風の後はじめて来たからねぇ……。通行止になっとるとは。ところで滝まで行くの? だったらこの道を抜けるとええで」

 おじさんは過去に何度も箕面山を歩いているらしく、別のルートをにこやかに教えてくれた。地形図には表記されていない道だが、道標も滝へ続く道だと示している。これなら大丈夫だろう。

「ありがとうございます。助かりました!」お礼を伝えて歩きだす僕を、おじさんは笑顔で見送ってくれた。

箕面大滝

 教わった道を歩くこと約1時間。観光客にまざり、川のせせらぎを聞ききながら歩いていくと視界の先に滝を捉えた。

 箕面公園公式サイトによると、流れ落ちる滝の姿が農具の”箕”に似ていることから箕面大滝と呼ばれるようになり、地名の由来もここにあるという。紅葉の箕面大滝にはまだ時期が早いが、その美しさに変わりはない。四季を通してさまざまな表情を見せてくれ、訪れる人の感嘆を誘う。壮大な滝に目を奪われ、川音を聞きながら、しばしのんびりと過ごした。一日を自然の中で過ごし、滝に癒され、晴々とした気持ちに包まれた。残りは滝道を駅まで下ってゆくのみ。

特別な紅葉の葉を塩漬け・塩抜きし、油でカラッと揚げたシンプルなお菓子。箕面の名物だ

 おっと、滝道沿は土産屋が軒を連ねており、忘れてはならないものがある。箕面名物「もみじの天ぷら」だ。土産屋の軒先で揚げられた、できたての天ぷらを一袋買う。それをほおばりながら駅まで歩く。これこそが、箕面ハイキングの正しい締めくくり方であるのだ。

箕面山ハイキングのデータ

  • 箕面の森ハイキングマップ(みのお山なみネット
  • 標高:355m(箕面山・本コースでは登りません)
  • 距離:約8km
  • コースタイム:約3時間
  • コース:阪急箕面駅→聖天橋→聖天展望台→こもれび展望所→雲隣展望台→箕面大滝→阪急箕面駅
  • アクセス:阪急電車「箕面駅」下車すぐ
  • 立ち寄り湯:箕面温泉スパーガーデン(https://minoh-spa.ooedoonsen.jp

 国定公園に指定されているだけあり、コースは非常に歩きやすい。道標や地図も設置されているので、初めての人でも安心して歩けるだろう。とはいえ、地図は必ず持参したい。ハイキングマップはみのお山なみネットから入手できるので、ダウンロードしておこう。ハイキング後の温泉は「大江戸温泉物語 箕面温泉スパーガーデン」がおすすめ。阪急箕面駅から徒歩5分の好立地だ。汗を流してさっぱりしよう。

自然愛好家。大阪府山岳連盟・大阪青雲会に所属し、週末には関西近郊の里山にふらりと出かけていく。日本オリエンテーリング協会ナヴィゲーションスキル検定・シルバーレベル取得。フルマラソンベスト3時間29分。