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真冬の風物【氷瀑】を求めて|金剛山・モミジ谷〜馬の背ルート

 すっかり落葉した木々の枝先に、いくつものまぁるい水滴がレンズのようにきらめいていた。林道を挟んだ向こう側には、退色した冬の金剛山がそびえている。足下の落ち葉は凍りつき、踏む度に、霜柱のような小気味よい音が響く。

 水越峠から林道をカヤンボに向かって登ってゆく。「金剛の水」の広場でアイゼンを装着した。

 が、ベルトが長い。

 しまった、最後に装着したときに調整しようと思って、それっきりだった——なにせ昨年は、コロナ禍で雪山ハイキングどころではなかったのである。

 カヤンボから先、林道から外れモミジ谷に入渓する。次第に雪が深くなり——といっても、せいぜい20〜30cmの積雪量だが——、雪で固まった登山道にアイゼンが食らいつく感触を久しぶりに楽しんだ。夏に繁茂していたクマザサはすっかり雪に覆われ、谷を流れる川は、ところごころ凍りかけている。

 2022年2月11日。建国記念日。最高気温11.9度。真冬にしてはずいぶん暖かい。氷瀑は、見られるだろうか——。

 関西近郊の山、それも太平洋側で、完全凍結した氷瀑を見られる期間はそう長くはないだろう。その年の気候にもよるが、12月末から2月の中頃ぐらいまで楽しめればいいほうか。つまり今日を逃せば、また1年おあずけということになる。

 モミジ谷に標識はなく、地図と踏み跡を頼りに進む。谷筋は登りが難しい。標高が上がるにつれて谷は枝分かれしてゆくからだ。

 そうして堰堤をいくつか越えた。山頂に近づくにつれ堰堤から流れる水流は凍り、見事な氷柱が育っている。水面に、岩のように立ち込むそれもある。堰堤の両サイドには天使の羽のように大きく広がる氷柱も見られる。

 が、まだこれは目的の氷瀑ではない。

 梯子を登ってさらに堰堤を越え、第六堰堤の見事な氷瀑が現れたときには思わず笑みがこぼれた。堰堤から勢いよく流れる滝の水しぶきが、そっくりそのまま静止している。これは厳冬期にしか見せない山の表情だ。ここだけ、時間が止まっているかのような錯覚を覚えるが——いや、凍りの中で、少しずつ水が流れ始めている。月日が流れ人が歳を重ねるように、自然界の時間も、また流れているのだ。

▲第六堰堤の氷瀑前で

 山頂の気温計は0度を指していた。やはり暖かい。日だまりに身を寄せていれば、防寒着が必要ないぐらいである。

 鳥の餌場でヤマガラ、シジュウカラ、コジュウカラを観察し、雪に覆われた、馬の背ルートを下山した。

金剛山・モミジ谷〜馬の背ルートのデータ

Download file: kongosan-momijidani.gpx
  • 標高:1,125m
  • 距離:約7km
  • コースタイム:約4時間
  • コース:富田林⇒水越峠バス停→水越峠→カヤンボ→モミジ谷→金剛山山頂広場→馬の背ルート→ロープウェイ前バス停⇒富田林
  • アクセス:行き・近鉄「富田林」駅下車、金剛バスで「水越峠」バス停へ|帰り・「ロープウェイ前」バス停から金剛バスで「富田林」駅へ

 モミジ谷は、『山と高原地図|金剛・葛城』で、破線ルートである。特に難所はないが、一般登山道ではないため標識はない。積雪期は6本爪以上のアイゼンが必需品である。また、下山の馬の背ルートは『山と高原地図|金剛・葛城』には記載されていない。ヤマレコやヤマップなど、山地図アプリでルートを確認しておこう。

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