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雲母坂から比叡山へ|京都の名峰・紅葉狩りハイキング

 比叡山は、京都府民はもちろん関西近郊のハイカーにとっても親しみ深い山である。山頂からの絶景や、延暦寺での歴史観光など見どころには事欠かない。比叡山を訪れるなら、何と言っても紅葉の季節がおすすめだ。

比叡山・四明岳の展望スポットからの眺め

 広場からの素晴らしい眺めに思わず息をのんだ。

 比叡山・四明岳から北側を望むと、大原の街の奥に、皆子山をはじめとする京都北山の稜線がどこまでも連なっている。見渡す限り山、また山。青空に浮かぶ雲が、すごいスピードで移動しているのが分かる。広場にはその展望を楽しめるようベンチが設置され、冷たい風に吹かれながらもそこを休憩場所とした。なぜ、もっと早く訪れなかったのだろう——。ここは僕の知る限り、関西近郊の山々の中で一二を争う展望が広がっているのだ。

雲母坂から比叡山へ

 比叡山は京都市街から北東に大きくそびえる、京都の人にとってなじみ深い山のひとつだ。標高は848.1m。京都市と滋賀県大津市の境界をなし、山頂には天台宗の総本山・延暦寺を抱く。山頂部は平坦面が多く、東の大比叡(おおびえい:848.1m)と西の四明岳(しめいだけ:838m)の二峰に分かれ、四明岳からの眺めが絶景だ。比叡山のハイキングコースは多数あるが、今回は人気のある雲母坂から歩いてきた。

 レトロな2両編成の列車に揺られ、叡山電鉄「修学院駅」に到着したのが午前8時30分。修学院をスタートし、鷺森神社(さぎもりじんじゃ)の紅葉を見学してから雲母坂へと向かう。

 比叡山は低山ながら関西有数のハイキングスポットであり、全国区の山と言っても過言ではないだろう。やはり、山頂の延暦寺の存在が大きい。雲母坂はその延暦寺に、京都側から続く最古の道であり、叡山の僧兵が強訴のときもこの坂を下ったとされている。延暦寺への勅使参向にも用いられたため、勅使坂とも呼ばれるという。(※参考:日本大百科全書)

雲母坂の入口
京都一周トレイルの親切な道標が設置されている

 現在はハイキング道として整備され、大勢の観光客やハイカーが訪れる。雲母坂のハイキング道は道幅が広く、よく整備され大変歩きやすい。コース途中から京都一周トレイルと交わるため、おなじみの丁寧な道標が設置されている。これなら初心者でも安心して歩けるだろう。

雲母坂の道中、鉄塔付近から愛宕山方面を望む

 道中の展望もなかなかのものだ。雲母坂の稜線に出てしばらく歩くと送電線の鉄塔があるが、ここからの眺めが実によい。岩倉の街並みや、京都西山方面の展望が開けている。京都西山の山塊の中で、ぽっこりと頭を突き出している山は愛宕山だろうか……。もう少し標高を上げ、ケーブル比叡駅から確認してみることにした。

叡山ケーブル駅内の展示

 ケーブル比叡駅に到着したのが午前11時10分。修学院駅からかなりゆっくりと歩いたが、それでも約2時間で比叡山山上にたどりついた。さっそく山と高原地図を取り出して山座同定を試みる。

 山座同定とは、遠方に見える山が何という山かを同定するコンパスワークのテクニックであり、遊びのひとつでもある。山を登っていると「あの遠くに見えるピークは何だろう」と疑問が湧くことが多々ある。そんなとき、山と高原地図に収録されている広域地図が役に立つ。コンパスと併用して山の名を調べるのだ。コンパスで調べたい山の方位を計測し、それを地図上で確認すると——やはり先ほどの山は愛宕山だった。

 山座同定はコンパスワークの練習になるし、遠方の山の名前が分かることは面白いものだ。疑問が解消されたことで納得した僕は、晴々とした気持ちで次のポイントへと向かう。四明岳で昼食休憩をとり、それから大比叡へ。大比叡は比叡山の最高峰なのだが、それはドライブウェイ脇の、ひっそりとした丘の上にある。記念撮影をして延暦寺へと進んだ。

比叡山延暦寺

 延暦寺は言わずと知れた仏教の聖地である。788年(延暦7年)に最澄により薬師像が安置されたことを起源とする、天台宗の総本山だ。登山道から延暦寺の境内に入ると厳かな空気に包まれ、立派な御堂が姿を現した。

 最澄と空海、この2人の僧侶が唐から持ち帰ったのは密教だけではない。土木建築技術もそのひとつだ。空海が改修した香川県・満濃池に用いられた「余水吐き」と呼ばれる技術は、現代のダム建設技術にも通用するという。延暦寺の根本中堂や大講堂をはじめとする数々の建築物は、おそらく当時の最先端技術の結晶であり、その意匠には一流の技が込められているのだろう。僕に古建築の知識があれば感動もひとしおなのだろうけれど、残念ながらその知識を持ち合わせていなかった。

坂本ケーブル駅からの眺め

 延暦寺をしばし観光し、後は坂本ケーブル沿いの登山道を下るのみである。麓の街が近づくと、グラウンドで練習に励む球児たちの声が聞こえてきた。ゴールはもうすぐだ。

 駅前通りでは、もうじき枯れ葉がはらはらと舞う季節が訪れるその前に、紅葉が落葉前の最後の輝きを放っていた。

比叡山のデータ

Download file: -比叡山.gpx
  • 標高:848.1m
  • 距離:約12km
  • コースタイム:約5時間
  • コース:修学院駅→雲母坂→ケーブル比叡駅→大比叡→延暦寺→日吉大社→比叡山坂本駅
  • アクセス:行き・叡山電車「修学院」駅から徒歩約30分で雲母坂|帰り・JR「比叡山坂本」駅へ
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