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山旅に欠かせないモンベルのトレッキングブーツ

 トレッキングブーツの必要性を理解したのは最近のことだった。

 長らく、登山やハイキングの足元は専用のブーツと相場が決まっている。が、トレイルランニングシューズやルナサンダルで山中を走ることもある僕にとって、底が硬い、まるでギブスのような履物に疑問を感じていたのだ。なぜこんなに歩きにくい靴を履かねばならないのか。

 それが、この2〜3年ぐらいだろうか。

 山岳会にも所属し、ちょっとした岩場あり沢ありと山旅のバリエーションが増えた。歩荷トレーニングのように重たい装備を背負うことも多くなった。そこでようやく、トレッキングブーツの有り難みが分かってきたのだ。

 僕が愛用しているのはモンベルのツオロミーブーツ。夏山縦走やトレッキングに対応する、ハイカットの3シーズンモデルである。

 今から約4年前、夏山縦走から低山の雪山ハイキングに対応できるブーツを探しにモンベルを訪れた。それでいくつか試し履きをしてみる。が、当時トレイルランニングシューズをメインに履いていた僕にとって、デカくて重たいトレッキングブーツは試着ですら苦痛でしかなかったのだ。それでも信頼できるベテランスタッフに丁寧に選んでもらい、購入を決めたのだった。

 ツオロミーブーツは夏山登山に必要な性能を十二分に備えている。防水透湿性はもちろんのこと、特筆すべきはモンベルが独自開発したソール「トレールグリッパー」だ。素材の配合と突起の配列パターンに特徴があり、接地面との密着性を高めている。とくにぬれた路面でグリップ力を発揮し、一般的な登山靴と比べると約1.5倍滑りにくいという。山を歩く人なら、ぬれた木道や岩場、渡渉でスリップにおびえながら恐るおそる歩いた経験があることだろう。恐怖心から腰が引けるとかえって不安定な姿勢になり、その結果、尻もちをつくことになる。

 そういえば、ツオロミーブーツを履き始めてからの4年間、このブーツで滑った記憶がほぼない。そのぐらいトレールグリッパーは地面をガッチリと掴んでくれる、頼もしいブーツである。

 ソールが硬いから舗装路歩きは至極疲れるが、ひとたび岩場に入るとソールの硬さが輝きだす。この硬さのおかげで小さな足場にも爪先だけで乗れるし、地面からの突き上げを防いでくれる。傾斜の急な岩に乗っても滑らない。15kgを超える装備を背負うと、ふかふかしたソールの柔らかい靴ではだめだ。クッションがたわみ、足元が安定しない。岩場を三点支持で登り、ちょっとした沢を歩き、重たい装備を背負うと「なるほど、これがトレッキングブーツの良さか」と感心する。すると愛着も湧き、手入れに力が入るというものだ。

 昨今は山道具が進化し、ひと昔前では考えられない軽い装備で山を楽しめるようになった。そのせいか重たいブーツを嫌うような風潮も見受けられるし、状況によっては、足元はローカットシューズでもかまわないと山雑誌で紹介されるようにもなった。

 それでもトレッキングブーツは登山の足元を支える道具として進化してきただけあり、一度足になじむと手放せない存在になる。山行を終えたブーツを手入れしながら、「さぁ次はどこへ行こうか」と次の山旅を想像する時間は、山の楽しみのひとつである。