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【コンパス直進】プレートコンパスの回転リングの使い方

 フィールドでのナビゲーションには、「特徴の目視によるナビゲーション」と、「方位や距離を元にしたナビゲーション」のふたつがある。これらはどちらが正しい、どちらが優れているという話ではなく、場面によって使い分ける、あるいは併用するものだ。

 僕は通常、整置を基本とし、「特徴の目視によるナビゲーション」に重きを置いている。日本のフィールドは地形の特徴がはっきりとしており、尾根、谷、斜面、コルなど、現在地を確認できる目印が、意外とたくさんあるからだ。

 一方、そのたくさんある目印を目視できない状況もある。雪山でのホワイトアウト、夜間行動、ヤブ山などだ。このような状況では、目的地までの方位を計測し、プレートコンパスにセットにした方位を外さないように進む、「直進」のテクニックが生きてくる。

 2021年12月に開催された、大阪府山岳連盟による読図講習会に参加した折、プレートコンパスによる方位や距離を元にしたナビゲーションを学び、その有効性を改めて確認したので、ここにご紹介したい。

プレートコンパスのプレートと回転リングはこんな場面で使う

 既に述べたように、ナビゲーションの基本は整置であり、地図と周囲の地形を照らし合わせながら、現在地を絞り込むことが大切だ。登山ではプレートコンパスが推奨されてはいるが、実はプレートの出番は多くはなく、地図を整置するための小さなコンパスで事足りる。ちなみに、整置や地図の基本については以下の記事を参考に。

 しかし次のような場面では、プレートコンパスによる「直進」が有効であるのだ。

 現在地からP250.2を目指す。しかしここは、道はおろか踏み跡もなく、ヤブがちで見通しが利かない場所。それにピークは顕著だが、現在地周辺の等高線間隔はやや広く、視界が利いたとしても地形を把握しづらい。本来なら周囲の風景を地図と照らし合わせながら進みたいところだが、ちょっと難しい。このような場面ではプレートコンパスに方位をセットして進む直進が有効であるのだ。

 ここでは、現在地から直接ピークを目指すのではなく、いったんコルに乗ってからピークを目指したい。その方が登りの傾斜が緩やかで、視線がヤブで遮られてはいるものの、尾根、コルという、線と点の目印をたどれるからである。

コンパスのセットの方法

 まず、現在地と目的地(コル)をプレートの長辺でつなぐ。丁寧に、正確に作業しよう。

 長辺で現在地と目的地をつないだ状態で回転リングを回し、磁北線と回転リングの赤矢印を平行に合わせる。このとき磁針の向きは一切関係ないので惑わされないように! 回転リングを南北逆に合わせてしまうミスもやりがちなので(僕は何度もやらかしました)、併せて注意しよう。

 以上で「コンパスがセット」された。ここからは地図を置いて、コンパスを頼りに進んでゆく。

コンパスを体の前に構え、セットした方向に進む

 コンパスをセットしたら、胸の前で地面と平行に構えよう。ここで初めて磁針を見る。

 磁針と、回転リングの赤矢印を、体を回転させながら合わせる。磁針と赤矢印がぴったりと重なったとき、顔を上げた方向(プレートの進行線の方向)が目的地の方向である。この状態で、コンパスを照準器として使いながら進んでゆくのだ。

 コルに到着したら再び同じ作業をし、コルからピークまでの方位をセット、そしてコンパスを頼りに進んでゆこう。

顔を上げた視線の先に、目標物を定めること

 ただし、正確にコンパスをセットし、赤矢印と磁針を合わせただけではまだ十分ではない。顔を上げた視線の先に、目標物(特徴的な木、岩、その他の植生など、何でもよい)を定めよう。

 コンパスだけを頼りにすると、ヤブをかき分けているうちにルートから外れてしまう。コンパスをセットし、顔を上げ、その先の目標物を決めることで、ヤブをよけながら蛇行して進んでも、想定したルート・方位を外さすに進むことができるのである。

 軍隊のランド・ナビゲーション(地上航法術)では主に、ここで解説したように、方位を計測し、それをセットしたコンパスを頼りに進むという。地図とコンパスに加え、自己位置決定盤(平たく言うと軍用の分度器)、歩測を併用することで、たとえ夜間であっても精密なナビゲーションが可能だそうだ。

 僕が出かけるフィールドでそこまでの精度は求められないが、直進というテクニックの有効性を改めて確認できたことで、大阪府山岳連盟による読図講習会の収穫は十分にあった。

 「スマートフォンの山地図アプリがあるのに、なぜそんな面倒なことを」と思われる人もいるかもしれない。が、その答えは簡単なこと。

 地図とコンパスは、面白い。

 地形図を広げてコンパスを操り、まだ見ぬフィールドを想像しながら歩く——これだけで、山の楽しみがさらに広がってゆくことは、間違いないのである。

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