【六甲山・市ヶ原】たき火ハイキング|自然の薪でたき火を楽しむ方法

 のんびりたき火でも楽しもうか——。

 たき火には暖を取る、食材を調理するといった実用的な面だけではなく、精神をホッとさせる不思議な力がある。キャンプブーム真っただ中の昨今、動画共有サイトに数々のたき火動画がアップされているのは、たき火の癒し効果を求める人がいかに多いかを物語っているといえるだろう。

 しかしたき火の暖かさや安心感、煙の臭いや火を得るための苦労は映像だけでは得られない。安全に楽しめる場所があれば、ぜひ実際にたき火を経験してみよう。

 新神戸駅のすぐ裏手から入山し、布引の滝や見晴らし展望台、布引貯水池を経て市ケ原へ。新神戸駅からゆっくり歩いても1時間足らずのお手軽ハイクだ。市ケ原に到着したら、さっそく準備に取りかかる。

たき火の方法

 まずは薪を集めよう。薪は、たき付け用の細い木から、おき火用の太い木までさまざまな太さを集めておく。通常は地面に落ちた枯れ木を集めるが、なるべく乾燥したものを選びたい。木を折ってみてパキッと乾いた音が出るものが燃えやすく、薪に適している。たき火を楽しむ時間を計算し、たき火の最中に2度3度と薪拾いに行かなくてすむよう、多めに集めておくとよい。

たき付けから太い薪までまんべんなくそろった
ノコギリがあればベストだが、小型のナイフでも手首ぐらいの太さの薪なら切断できる。薪にV字に切り込みを入れ、踏んづけて割ろう

 集めた木々は、たき付け、細い薪、太い薪と、太さ別に分類しておく。「スギの枯れ葉」は入手しやすく、わずかな火からよく燃えてくれるため、たき付けに便利だ。

 さて、たき火を上手におこすには以下の3点を意識しよう。

  • 熱を逃さない
  • 酸素を効率よく供給する
  • ちいさな炎から大きな炎へ

 熱を逃さず、酸素を効率よく供給するために、石を使って火床を組もう。まず地面を15cmほど掘る。掘った穴の中に小石を敷き詰め、周囲は石で囲う。保温力の高い石がたき火の熱量を保ってくれるのだ。そこへ2〜3本の、太く芯になるような薪を組み、その隙間に燃えやすい小枝を詰め込もう。

15cmほど地面を掘る。写真のような折りたたみスコップがあると便利だ。
火床の組み方はさまざまあるが、これは定番の「キーホール型」。炎とおき火を分けて使えるため、調理に便利
集めた薪を、石に立てかける

 たき火を上手におこせないとき、やりがちな失敗のひとつが、いきなり太い木を燃やそうとすることだ。まずは枯れ草や新聞紙など燃えやすいものから小枝に火をつけ、そこから徐々に炎を大きくしていくのがたき火の鉄則である。

 薪を組んだらいよいよ着火だ。僕はライターや防水マッチを必ず山の装備に加えているが、楽しみのためのたき火は、メタルマッチでおこすことにしている。メタルマッチはぬれても使え、数千回は火花を飛ばせる。メタルマッチで火をおこせればライターやマッチでの着火は朝飯前だし、それらが使えない緊急時にも、メタルマッチさえあれば慌てずに済むからだ。僕にとってたき火は、非常事の訓練も兼ねているのだ。

マッチ一本で確実に着火できるのが理想
メタルマッチが使えたら心強い。メタルマッチを勢いよくスパークさせる

 この日の火口はティッシュペーパー。マグネシウムを削り、メタルマッチを構え、プレートを勢いよくこすり付けて火花を飛ばす。一度で火をつけようとせず、間髪入れずに数回連続で火花を飛ばすとうまくいく。他に使いやすい代表的な火口は、「麻紐をほぐしたもの」や、「乾燥した杉の皮」、布を炭化させた「チャークロス」などがある。

 火がついたら、うちわであおいだり火吹き棒を使ったりして、酸素を供給しながら小枝を足していこう。炎が安定するまで面倒をみる必要がある。炎が安定し、手首ぐらいの太さの薪が燃え始めるとそう簡単に消えてしまうことはない。あとはじっくりとたき火を楽しもう。

 炎が安定したところで昼食を用意する。簡単なたき火飯だ。この日はソーセージとキャベツをコンソメで煮つめ、少量の米を足したリゾットを作った。具材に火が通り、仕上げに塩とオリーブオイルで味を調えれば完成だ。11月の寒空の中、暖かい食事は体も心も十二分に満足させてくれた。

 また別の日には、ホットサンドメーカーを持ち込んで、たき火で焼いた熱々のホットサンドを食した。ひとくち口に入れると、具のソーセージから肉汁がジュワッと広がり、いい塩梅にとろけたチーズと絡み合う。くぅぅっっっ!

キーホール型火床の細い部分は、おき火をおいて使う。そこへホットサンドメーカーを投入。
チーズ、ソーセージ、キャベツのホットサンド。こんがりと焼けました

 たき火のゆらめく炎を眺めていると、あっという間に時間が過ぎる。時刻は午後14時を過ぎた。そろそろ撤収の時間だ。

たき火の後始末は確実に

 たき火の後、確実な消火は当然のことだが、黒い焼け跡をそのまま残さないように。他人が訪れたとき、そこがたき火跡だと分からないように始末したい。

薪は白い灰になるまで完全に燃やすこと

 まず薪は白い灰になるまで燃やしきること。燃え残ってしまった炭は原則持ち帰る。灰は肥料になるが、炭は自然の中で分解されないからだ。撤収の2時間ぐらい前から逆算して、薪の投入をストップしよう。燃えきった灰は地面に埋め、黒く焼けた石は、そこがたき火跡だと分からないように片付ける。黒い焼け跡が点在しているフィールドは、決して気持ちのよいものではない。

 消火では何度も水をかけ、火床が手で触れる温度に下がるまで徹底する。石は保温力が高いため完全な消火には手間がかかるが、安全のために確実に消火しよう。山火事の原因No.1はたき火であることを肝に銘じて。

これが先ほど火床を組んだ場所だ。一見ここがたき火跡だとは分からない

 撤収作業を終えたら、再び布引貯水池を経て新神戸駅へと向かった。市ヶ原は市街地から徒歩約1時間でたき火を楽しめるスポットだ。マナーよく使い、いつまでも利用できるよう美しいまま残していきたい。

六甲山・市ヶ原のデータ

Download file: ichigahara.gpx
  • 標高:市ヶ原(約250m)
  • 距離:約2.3km(片道)
  • コースタイム:約1時間(片道)
  • コース:新神戸駅~布引の滝~布引貯水池~市ヶ原
  • アクセス:市営地下鉄・JR「新神戸駅」下車すぐ登山口 
  • 立ち寄り湯:神戸クアハウス https://kobe-kua-house.com

 たき火はどうしても頭髪や衣服に臭いがつく。臭いが気になる人は温泉で流し、着替えてから帰路につこう。神戸クアハウスは都市部では珍しいふたつの天然温泉と、名水「神戸ウォーター」による多彩なお風呂を楽しめる。新神戸駅から徒歩約10分と立地もよい。時間のある人はぜひ立ち寄りたい。

市ケ原でのたき火の是非について

 今回、市ケ原でたき火を行うにあたり、念のため神戸市にその是非について問い合わせてみた。すると、市ケ原を管轄する神戸市・中部建設事務所から「河川ですので自由使用です。ただしマナーは守ってください」との回答が得られた。自然や人さまの迷惑にならないように楽しみたい。

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