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フィールドでの汎用性が魅力のコンバットブーツ|JF.戦闘長靴III型

S & Graf(エス&グラフ)JF.戦闘長靴III型

 エス & グラフは大阪のミリタリーショップ。数々のミリタリーアイテムに加え、自衛官向けの装備も販売している。ここでご紹介する戦闘長靴(せんとうちょうか)は、多くの自衛官より要望のあった、丈夫で高品質な戦闘長靴を、米軍御用達メーカーと取引実績のある工場で生産した民生品(レプリカ)である。

 自衛官の方々は、戦闘訓練では官給品の戦闘長靴を履く。しかし官給品はミドリ安全製の防水安全靴であり、簡単な作業用としては重く、オーバースペックなのだろう。通常業務や駐屯地での軽作業用に、軽く、軽快に履ける民生品を購入するのだそうだ。

 エス & グラフの戦闘長靴は安全靴仕様ではない分、軽く柔らかく履きやすい。しかも安価だ。かといって品質が悪いわけでは決してなく、価格に見合う品質を認めたからこそ購入したのである。

牛革+バルカナイズ製法の、実用的な編み上げブーツ

 こうしたコンバットブーツのレプリカ品は、外観を真似ただけの安価な商品も出回るが、エス & グラフ製は信頼のおけるブーツに仕上がっている。

 素材は牛革+化繊。ゴツい見た目に反して意外なほど通気性がよく、丸一日着用しても蒸れをほとんど感じない。ゴアテックス製の防水靴ではないことも、蒸れにくい一因であろう。もしぬれてしまっても、乾きの速さを期待できる。防水靴はひとたび浸水してしまうと乾くのに時間がかかるのだ。

 ソールは米軍ジャングルブーツに採用される「パナマソール」を、バルカナイズ製法で組み上げる。バルカナイズ製法とは、本体とソールを圧着加硫させる一体成形の製法のこと。底剥がれの心配はまずなく、しかも加水分解も起こさない。大変堅牢な製法である。

 パナマソールは登山靴によく用いられるビブラムソールと違い、突起が大きいことが特徴だ。土や岩の上をゆっくりと歩くには、ビブラムソールのパターンが有利だ。実際、僕も試してみたが、戦闘長靴のグリップ力は登山靴にはかなわないだろう。

 が、走ったり急停止したり、激しい動きが想定されるコンバットブーツには、食いつきが良すぎるソールは不向きであるのだ。登山用のブロックパターンでは、一歩ごとにブレーキがかかってしまうからである。

 パナマソールはそもそも、高温多湿のジャングル戦から生まれたものだ。突起は溝が大きく、土や泥が詰まってもすぐに落とせる。これもビブラムのブロックパターンにはないメリットで、いくら食いつきが良いソールも泥が詰まってはグリップが低下し、しかも重くなってしまうのだ。

登山では登山靴にかなわないが、コンバットブーツは汎用性の高さが魅力

▲スピードレース仕様。レースを引っ張るだけで、素早くフィッティングができる。

 登山靴は基本的に、岩場や雪の上を歩くためのものだろう。岩の小さな突起につま先をかけて体重を支えたり、アイゼンを装着したりするために、靴そのものも靴底も、まるでギブスのように硬い。確かに岩場は歩きやすい。しかしその反面、なだらかな登山道や林道、アルファルト道では歩きづらくて仕方がないのだ。

 コンバットブーツは市街地からジャングルまでさまざまな戦場を想定して開発されている。だがそれは、例えば軽トレッキングブーツ、重登山靴などと用途が細分化される登山靴に比べ、用途が最大公約数的で、中途半端ともいえるかもしれない。

 それでもコンバットブーツが登山靴より秀でている点がある。それは荒れた地面に対する安全製と、フィールドをところかまわず駆け回れる機動性である。

 僕のメインフィールドは森林限界下であり、一般登山道から道のないヤブ山、市街地を通過するトレイルや、森でのキャンプが主な用途だ。登山に限れば登山靴が断然に有利だが、僕のように幅広い路面を歩く場合は、こうしたブーツが歩きやすい。

 特に道のない場所を歩くには、強固な甲革とパナマソールが足下をしっかりと守ってくれる。パンツの裾をブーツインすれば、ヤマビルや毒虫の侵入も防げるのだ。

 そんなわけで、エス & グラフ製の戦闘長靴が、愛用のブーツに仲間入りした。大切に手入れをしながらフィールドで使い倒したい。手入れができることも、革製ブーツの良さである。

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