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【天空の城】日本三大山城、備中松山城ハイク

 現存12天守のうち随一の標高に建つ山城——。

 備中松山城は日本三大山城に数えられ、秋の雲海に浮かぶ姿から「天空の城」と呼ばれている。岡山の人気観光スポットのひとつで、アクセスにはバスやタクシーが便利だ。

 が、備中松山城は天守が現存する唯一の山城なのだ。山城を存分に楽しむために、歩いて登城してみてはいかがだろう。

備中松山城

 岡山県南西部、高梁市にそびえる臥牛山(がぎゅうざん)。標高487mのその山頂に、備中松山城がある。歴史は古く、鎌倉時代の延応2年に砦が築かれたことに始まるとされる。

 備中松山城は現存12天守のひとつであり、天守が現存する唯一の山城である。城内には天守、二重櫓、土堀の一部が現存し、昭和25(1950年)に重要文化財に指定された。

備中高梁駅から備中松山城までを歩く

 岡山駅を出発すると、ほどなくして車窓にのどかな里山の風景が広がっていった。備中松山城のある岡山県高梁市は、県中西部に位置する。市の大半が丘陵地からなる中山間地域だ。

 備中高梁駅周辺には図書館や市役所、病院などの生活インフラがコンパクトにまとまっている。だが少し歩けば高梁川が流れ、臥牛山をはじめとする里山に囲まれた自然豊かな街だ。高梁駅の西出口を出発して、高梁の街を北に向かった。

高梁の街歩き

 登山口までのルートは複数あるが、今回は最短ルートである「城見通り」を選んだ。高梁市は備中松山城の城下町として栄えた歴史のある街だ。それだけに道中には「武家屋敷」や、幕末の藩政改革を成し遂げた「山田方谷記念館」などの見どころが随所にある。時間が許せば観光を楽しみたい。

▲高梁基督(キリスト)教会堂。岡山県で最古の教会堂だ

 城見通りを北に進み、紺屋川を過ぎると東に進んで線路を渡る。さらに北に進み高梁高校前を東に進むと、登山口のある中洲公園に到着だ。登山道周辺には備中松山城への案内標識があるので、迷うことはないだろう。

中洲公園から登山道へ

▲中州公園の登山口

 さて、ここからは登山道を歩いてゆく。中継地点のふいご峠まで約40分。その先は約20分で備中松山城に到着だ。登山道は備中松山城への遊歩道としてよく整備されている。勾配は少し急だが、息があがらないようゆっくり歩けば大丈夫だ。

 僕は日頃から山を歩き山道には慣れているが、そうでない人にとっては道のりは険しく映るかもしれない。最低限、歩きやすく滑りにくい靴を選び、防寒着を用意しておこう。

 備中松山城の標高は約480mと、麓との気温差が2〜3度はある。くわえて頂上付近は風が強く吹くこともある。夏場でも1枚羽織れる上着があれば安心だ。

▲登山道はこんな感じ
▲大石内蔵助が登城の際に休憩したとされる腰掛け石

 登山道には石段が続く場所もあり、少々くたびれるかもしれない。しかし道中には史跡や臥牛山の自然の案内看板が設けられ、飽きることはない。休憩をはさみながらゆっくり歩いても、40分ほどでふいご峠に到着する。

▲ふいご峠

 ふいご峠には休憩所が設けられている。自販機やトイレがあり、ここで休憩していこう。備中松山城まであと20分で到着だ。ここから先は、段差があるものの舗装された遊歩道を歩いていく。木々の間から垣間見る高梁の街並みが美しい。

▲大手門の石垣

 どんどん登ってゆくとやがて大手門跡が現れる。まだ天守は見えないが、高く積まれた石垣は攻め込んだ敵兵をおびえさせるに十分な迫力がある。二の平櫓跡を過ぎ、さらに三の丸の先へ進むと、やがて青空によく映える白い天守が視界に飛び込んでくる。ついに備中松山城に到着だ。

備中松山城

備中松山城

 備中松山城は、例えば姫路城のような華やかさは感じない。二層二階の建物は、天守と呼ぶ割には小さいなと感じる人もいるだろう。

 だが資料によると、当時は天守の周囲に複数の櫓や門が配置され、臥牛山そのものが要塞のように機能していたようだ。さらに城内には、敵のゆく手を阻むさまざまな工夫がこらされている。

 長期戦を見据えて天守内に”いろり”が設けられた珍しい設計も、数々の戦いから学んだ知恵なのだそうだ。天守二階の正面には御社壇(ごしゃだん)が設けられ、三振の宝剣(岡山県指定重要文化財)が御神体として祭られている。

備中松山城
▲中央のくぼみがいろり
備中松山城
▲三振の宝剣が祭られる御社壇

 備中松山城は備中の要衝を担い、三村氏、毛利氏など勢力の遷移とともに城主が移り変わっている。この城を攻めるのは容易ではなかったであろう。豪華絢爛な装飾はない。そこにあるのは、備中の要衝としての機能美。鍛え抜かれたボクサーのような城だった。

備中松山城のデータ

Download file: bicchumatuyamajo.gpx
  • 標高:487m(臥牛山)
  • 距離:約3km(片道)
  • コースタイム:約1時間30分(片道)
  • コース:備中高梁駅→中州公園→ふいご峠→備中松山城
  • アクセス:JR伯備線「備中高梁」駅下車、徒歩約1時間30分で備中松山城

山歩きを楽しもう

▲備中松山城からの眺め

 備中松山城は現存する唯一の山城である。その山城をもっとも味わう方法は、やはり麓から徒歩で登城することではないだろうか。実際に歩いてみると、備中松山城が山城であることを実感できる。備中松山城への登山道は一本道で、よく整備された道が続く。最低限の防寒着と歩きやすい靴があれば大丈夫だ。